時の閃き(ア・グリーム・オブ・タイム) (1983)
作品名(英) | A Gleam of Time |
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作品名(独) | A Gleam of Time |
作品記号 | 053 |
作品年 | 1983 |
ジャンル | 独奏楽 |
演奏時間 | 11分 |
楽器 | hp |
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曲目解説
一般に、竪琴とも呼ばれるハープには古代─典雅というイメージがあろう。エジプト時代の壁画のイメージがつきまとう。しかし、18世紀中葉にババリアのHochbruckerによって発明された「ペダル」(足による音程の変化)の発展はこの楽器のイメージを大きく飛躍させてきた。むろんドビュッシーの音楽のように20世紀においてもハープは<優雅な響き>を奏でる代表選手ではあるが、今世紀中葉後には先鋭的な<現代の響き>をも表出するように展開してきた。
「時の閃き」では、 新らしいさまざまな作曲手法が駆使されている。例えば、冒頭の[Gis-Es-Ces-A](完全5度、短6度、長二度音程の跳躍)の余韻にはニュー・トナリティー、 新しい調性が漂い、 その音形の反復には、旋律的、和声的なミニマルな変化による拡散と収斂が起こる。また、拍節的リズムが、 素速いパッセージ─閃きによって寸断されるような、 音楽時間の非連続性の手法、あるいは、「引用」(この作品が献呈されている武満徹氏の「スタンザⅡ」の数小節の引用がある)などが、この作品を形成している。この作品は、ハープという楽器の典雅さと、 鋭い現代性という二つの響きからハープ音楽の新しい響きの世界を求めた作品なのである。
初演:2.6.1983/「石井眞木作品演奏会」/Music Tody Tokyo/Hp.独奏:篠崎史子
ヨーロッパ初演:20.11.1986/ベルリン/Hp.独奏:カリン・シュメーター
アメリカ初演:1988年7月/ニューヨーク/Hp.独奏:篠崎史子
石井眞木
この石井の作品は、昨年の〈今日の音楽〉の「石井眞木作品演奏会」のために作曲された。石井は1970年以後、〈音楽〉を成立させるさまざまなキーポイントについて深く考えてきたが、このハープのための作品では、70年代以後意識ある 作曲家たちが考えてきたさまざまな問題がきわめて自然なかたちで共存している。すなわち、音形反復とミニマル・ミュージック、ニュー・トナーリティ、新鮮な響き、引用、などの問題である。ここではそれらが、冒頭の音形、〈Gis-Es-Ces-A〉の継続と拡散と集れんという枠組の中で展開される。なお、この作品は武満徹に献呈されており、作品の途中に、武満の〈スタンザII〉の数小節の引用がある。
武田明倫