飛天生動 II (1983)
作品名(英) | Hiten-Seidō II |
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作品名(独) | Hiten-Seidō II |
作品記号 | 055 |
作品年 | 1983 |
ジャンル | 室内楽 |
演奏時間 | 14分 |
楽器 | mba |
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曲目解説
題名の「飛天生動」とは、敦煌石窟の壁画に飛翔する羽衣の "飛天" と、南斉の謝赫が、その『古画品録』で述べている絵画の "六法" のうち、最も重んじられた "気韻生動"の合成語である。敦煌石窟の "飛天" はまさに、「天衣飛翔し、満壁風に動く」と形容されるごとく、"気韻生動" の素晴らしい具体的な表現であろう。この "飛天" に大きな感動をうけ、雅楽合奏、舞楽、伶楽、聲明、打楽器群という80余名の大編成の「飛天楽」を書き初演されたのが1981年(国立劇場)で、その後、その「飛天楽」のある部分から、小編成の雅楽のための作品が生まれたのが「飛天生動Ⅰ番」である。「飛天生動Ⅱ番」は、この私の "飛天-感動" の延長線上に生まれた作品である。マリンバ・デュオという、日本の伝統的音媒体とは異なる楽器による、"飛天" のイメージの音響化の試みである。仏教では、飛天のルーツは、極楽浄土の楽の音を響かせ、花の香りをふりまく香音神へたどりつく、といわれている。マリンバ・デュオは、飛天のイメージそのままの、優雅な響きとリズム感を表すのに絶好な音媒体で、敦煌石窟のやや重たい色彩感、力感を思わせるような音響的質感を併せもつ、と思える。どちらにしろ、このようなマリンバ・デュオの資質が、「飛天生動Ⅱ番」を生んだのである。
初演:1983年11月(草月ホール)/藤井むつ子、菊地とも子。
石井眞木, 1994。源:CD「響きの現在Ⅱ」(FONTEC/FOCD-3111)より