流響 (1988)

基本
作品名(英) Ryū Kyō
作品名(独) Ryū Kyō
作品記号 078
作品年 1988
ジャンル 舞台
演奏時間 50分
楽器 j-dance, j-drums, ch-ens, vo, eur-ins, j-ins
楽譜・譜面

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曲目解説

石井眞木, 1988年 源:「郡上八幡総合文化センター竣工記念コンサート」(初演)のプルグラムより

坂本由之先生に招かれ、岩本忠生氏に連れられて初めて郡上八幡を訪れたのは、昨年の夏であった。美しい〈水の城下町〉にすっかり魅せられてしまったが、「郡上おどり」の独特な音楽と踊りには感動すら覚えた。

新しいホ-ルが完成する、その柿(こけら)落としに新しい作品を創らないか、と言われて、啓示のごとく、〈水の流れ〉とあの「かわさき」を素材としたある作品像が浮かんできた。今回がその具現化一世界初演であるが、題名を、水の流れを象徴する「流響」としたのも、サブタイトルのー郡上おどりによるーも、この所以である。

作品の全体構成にー交響的祝典曲ーという性格をもたせたことは、無論、ホールの竣工に因んでいる。特に、曲の冒頭では、芝祐靖氏の龍笛と、林英哲氏の和太鼓による祝典的な独奏ガ挿入されているが、元来「交響」とは、〈響きあう意〉である。この「流響」では、日本古来の龍笛、和太鼓に、7人の西洋楽器によるダルムシュタット・アンサンブルが交錯し、さらに「フィナーレ」では、これらに、地元の八幡太鼓群、正調「郡上おどり」の面々が登場し、新しいホールから音たちが〈湧出〉するように、多彩に〈響きあう〉ー交響ーという構成がなされている。視覚的にも「郡上おどり」などが、これらを盛り上げよう。

言いかえれば、ここには日本の伝統音楽(雅楽)、西洋音楽の伝統(ダルムシュタット・アンサンブル)、それに、民間伝承の力強さ(和太鼓群、郡上おどり)などが混然と交響し、融合しながら、一つの「作品」を創るように意図されているのである。

この「流響」の成立のために御尽力下さったすべての方々に、この場を御借りして、深謝すると同時に、この作品を、素晴らしい〈水の城下町〉郡上八幡に、謹んで献呈します。