ホルン・ラプソディー (1989-1996)
作品名(英) | Horn-Rhapsody |
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作品名(独) | Horn-Rhapsodie |
作品記号 | 083 |
作品年 | 1989-1996 |
ジャンル | 室内楽 |
演奏時間 | 10分 |
楽器 | hrn-ens |
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曲目解説
この題名は、尺八本曲「鹿の遠音」をもじってつけられた。そして、単に題名だけでなく、曲の構造的要素として「鹿の遠音」の断片を使って(引用して)いる。
「断片」といえば、交響作品の有名な最も<ホルンらしい>パートがいろいろと現れるが、これは、尺八本曲の素材という日本古来の音形と西洋音楽の音形を同じ時空で交錯させ、そこからある音世界を求める、という意図による。
曲は、〈シリアスに〉、〈詣謔的〉、〈グロテスクに〉具現化(演奏)することが望まれる。
石井眞木, 1989。源:初演のプログラムより
この作品は、1989年6月10日「東京ホルンクラブ/第12回演奏会」で初演され、同年7月23日に、 ミュンヘンで開催された「第21回インターナショナル・ホルン・シンポジウム」の「ホルン・アンサンブル・コンサート」(カール・オルフ・ホール)で東京ホルンクラブの面々によってヨーロッパ初演されました。その際の曲のタイトルは「角笛の遠音」で、これは尺八本曲「鹿の遠音」をもじって付けた題名でした。今回、CD録音に際して、少し改作し、「ホルン-ラプソディー」とタイトルも変えましたが、この方が、曲の内容に相応しい、と思ったからです。
曲の構造的要素としては、旧題名のように、「鹿の遠音」の断片を使って(引用して)いて、今回の改作でも内容的にはほとんど変わっておりません。
この曲で、西洋の交響作品から最も<ホルンらしい>パート(断片)の数々が現れますが、これは、尺八本曲の要素という日本古来の音形と西洋音楽の音形を同じ時空で交錯させることで、ホルンの新しい音世界を表そう、という意図によっているのです。
曲は、最初は「鹿の遠音」を模したものが重層的に<シリアス>に現れますが、次第に異質な音要素が現れ、<諧謔的>で<グロテスク>なホルンの音の世界がラプソディー風に繰り広げられます。
石井眞木, 1992