雅霊 (1989)
作品名(英) | Garei (The Spiritual Power of Gagaku) |
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作品名(独) | Garei (Die sprituelle Kraft des Gagaku) |
作品記号 | 085 |
作品年 | 1989 |
ジャンル | オーケストラ/協奏 |
演奏時間 | 10分 |
楽器 | Orch |
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曲目解説
千数百年も伝承されてきた雅楽の音楽に、私はある霊威(すぐれた不思議な力)を感ずる。「雅霊」は、この雅楽から多くの示唆をえて創造された作品である。悠久のリズムといわれるように、 雅楽には西洋音楽の観点からみれば独特な音楽時間があるが、 これを「雅霊」に導入しようとした。例えば、舞楽で舞人が登退場する際の音楽などには、堆積する音響集合があるが、この音楽時間は、いわゆる西洋音楽には存在しない概念━時間的空間性を形成する。これを交響的に応用した。また全体構成にも、西欧的構成法とは異質な、雅楽と古来密接な関わりのある易学の「太極」のコンセプトを導入するなど、東西の音楽時間、構成理念の統合から、新たな音世界の表出をしようとした。
単独初演:1989年9月23日/Bunkamuraオーチャードホール開場記念公演/オーチャードホール/指揮:小泉和裕/東京都交響楽団
石井眞木
雅楽の音楽には霊威(すぐれたふしぎな力)がある。
「音楽時間の空間性」といった、現代の音楽では極めてあたらしいと思われる概念も、実は、千数百年も伝承されてきた雅楽の音楽概念の一つといえる。
「雅霊」は、雅楽から多くを学んで創造された作品である。例えば、この曲の中枢をなす旋律は、舞楽で舞人が登退場する際の「乱声(らんじょう)」に準拠したものであるし、その「集合」によって表そうとする「時間の静止」という概念も同様である。
もう一つの題名 「Karree」とは元来「方形(四角形)」をさすが、これは舞楽の舞人が舞う高欄に囲まれた緑色の四角舞台(天地を象徴する)を表している。
全体構成も易学でいう「太極」に始まり音楽時間を静止させるという、ベートーヴェン(西洋音楽)の構成法とは対極的なコンツェプトに拠っている。
石井眞木, 1992