エピソーデ I (1994)
作品名(英) | Episode I |
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作品名(独) | Episode I |
作品記号 | 102 |
作品年 | 1994 |
ジャンル | 独奏楽 |
演奏時間 | |
楽器 | perc |
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曲目解説
石井眞木、1994年。源:手書き楽譜
古来、日本の神話では崇高な存在としての全能の神よりも、むしろ人間的な弱点をもち、感情に流され、誤ちを犯す神、その過誤により人間世界におとされた神ならぬ神の物語が人々の心を捉え、伝えられて来た。折にふれ、そのような物語を思い返す時、私の脳裏にはある音響像が結実する。それは墮ちたる神の懊悩する像、苦しみ乱れ猛り荒ぶる神の姿である。
打楽器曲を作曲する際、千差万別で数限りない楽器、撥の種類、奏法を一つ一つ選択し作品とするには、打楽器奏者との共働(コラボレーション)が不可欠である。この作品は、 打楽器奏者の山口恭範氏のために書いたものだが、 山口氏とは長きにわたりこのような共働を積み重ねてきており、単に音、響きの選択のみならず、山口氏の妙技を作品の内容―<堕ちたる神の音響像>と重ね合わせることができた。この作品の秘された「核」である<5拍子>から、山口氏の手捌きにより、時に絶妙な、時に荒れ狂うリズムが立ちのぼる。
改作にあたっては、 1994年の初演時の打楽器編成に、 ヴィブラフォン他の金属打楽器を加えてある。 これで墮ちたる神の懊悩を、より深く表現しようとした。