聲明交響 II (1995)
作品名(英) | Shōmyō Kōkyō II |
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作品名(独) | Shōmyō Kōkyō II |
作品記号 | 105b |
作品年 | 1995 |
ジャンル | 舞台 |
演奏時間 | |
楽器 | shomyo, gagaku-ens, hp, str-ens, perc-ens, ballet |
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曲目解説
曾て、天平勝宝四年(752)、東大寺の大仏開眼の供養会で大規模な聲明が唱えられ、雅楽が奏され舞楽が舞われた、と「東大寺要録」に記述されている。ここでは、当時すでに日本に定着していた奈良仏教の聲明を、最新の<外来音楽>であった雅楽の響きと舞いが荘厳(しょうごん)したのである。神仏混淆はさておき、これを音楽的観点から見れば、まさしく<伝統と現代>であったと思える。
新たな伝統と現代、東西の響きが交響する作品─「聲明交響Ⅱ」ー密厳浄土(みつごん じょうど)ーでは、千数百年前のこの故事に遥かな想いを寄せながら、天台宗の聲明を、西洋型弦楽合奏、打楽器群による小オーケストラの響きで荘厳し、さらに芸術的な意味を含ませることを祈願しつつ筆をすすめた。そして雅楽は、伝統的、現代的な両奏法をもって、音楽的、音響的に両者を媒介する。作品の後半に舞楽「鳥歌萬歳楽(まんざいらく)」が登場するが、これに呼応して、「瀕死の白鳥」(サンサーンス)が忽然と現れる。これは<鳥>に因んだ一種の芸術的な<異化効果(Verfremdungseffekt)>を表出しよう。
石井眞木, 1995