雅影ーメタモルフォーゼ (1999)

基本
作品名(英) GAEI -- Metamorphose
作品名(独) GAEI -- Metamorphose
作品記号 116
作品年 1999
ジャンル 室内楽
演奏時間 20分
楽器 koto, koto-ens
楽譜・譜面

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曲目解説

「雅影ーメタモルフォ-ゼ」について。

もう二十年も前になりますが、朋友故沢井忠夫さんのために「雅影」という箏とオーケストラのためのコンチェルトを書きました。この作品は1980年10月東京で初演され、1983年にはジュネーブで沢井忠夫さんの箏独奏、作曲者指揮のスイスロマンド管弦楽団のコンサートで再演されました。初演の時、そしてスイスでの沢井さんの素晴らしかった演奏、その豊饒な響きの世界を今もなお鮮明に想い出します。 このたび、沢井夫人の一恵さんと沢井忠夫箏合奏団から、箏群のための作品を依頼されて、この「雅影」をメタモルフォーゼした作品にしようと考えました。沢井忠夫さんの忘れ難い名演を想い、追悼の意を込めながら...。

箏コンチェルトの「雅影」は、箏曲の「みだれ輪舌」に触発を受けて作曲したものです。そして、この古曲の自由奔放な「変奏手法」に学びながら、さらに現代作曲技法による変奏を駆使した作品です。

今回の十三絃箏独奏と箏合奏のための「雅影ーメタモルフォーゼ」は、「雅影」のコンセプトを生かしながらも、オーケストラとは全く異なる十三絃箏群、十七絃箏群の合奏の響きによる世界を創出しようと作曲しました。いわば箏独奏は、新たな箏群による響きの<メタモルフォーゼ/変容>を包括するわけで

「雅影」をまた一緒に演奏しようと話していた矢先に沢井忠夫さんは急逝され、痛恨の思いをいたしました。『人生 別離足る』との感慨がありますが、このたび、「雅影ーメタモルフォーゼ」の独奏を夫人の一恵さんが弾いて下さると聞いて大変嬉しく思うと同時に、沢井忠夫箏合奏団の皆様の演奏に期待を寄せています。

石井眞木, 1999年12月

 

箏曲の代表的な古曲「乱れ輪舌」が、この作品に影響を与えている。題名の〈雅(みやび)な影〉は、この故による外、単に影響というより、この名曲の胃頭の一部を主題とした一種の変奏曲ともいえる性格をもった作品である。

全体は、この作品で演奏中に変えていく調弦(別記)の移行が象徴するように、伝統的な基本調子から次第に、3つのテトラトーン(4音程)を含む開かれた音調に移行し、再び、大きな抛物線を描くように、次第に伝統的な音調に回帰する構成法がとられている。

Notenskalen in Gaei

初演奏:1980年10月22日、東京都
箏:沢井忠夫
新日本フィルハーモニー交響楽団

Maki Ishii