ブラック・インテンション III (1977)
作品名(英) | Black Intention III |
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作品名(独) | Black Intention III |
作品記号 | 031 |
作品年 | 1977 |
ジャンル | 独奏楽 |
演奏時間 | 12分 |
楽器 | pf |
ゼンオン(株)全音楽譜出版社 | |
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曲目解説
「ブラック・インテンション」とは、 音楽上の特別な音楽的意図、 を意味していて、ここにはこれまでになかった特異なリズム感、様式感、響き、奏法などが織り込まれている。
この第Ⅲ番には、ー息のためのピアノ・エチュウドーという変わったサブタイトルが付けられているが、これは、<ピアニストの一息>の長短、強弱が、曲の大部分のフレーズ(音楽時間)を決定することを指している。また、この曲で、最大4声の、 速度の異なるリズムを、 同時に演奏しなくてはならない奏法がピアニストに要求されているというのも、 この<ブラック・インテンション>の一つなのである。音色的には、極端な強弱の変化があるが、曲の後半にはプリペアード(変音)された音色によるリズムが対位的にあらわれ、重層的な音響を形成する。
この作品は、左手と右手で、 速度の異なる複数のリズムを、 同時に分離して演奏できるというピアニスト―高橋アキさんの特異な音感覚と能力を念頭に、 彼女のために作曲したものだが、初演からすでに28年(出版されてからも27年)が経つ(2001年現在)が、彼女以外のピアニストでこの曲を公開で演奏してくれたのは、私の知る限りドイツ人のピアニストただ一人である(彼は残念ながら演奏途中でギブアップしてしまった…)。 この曲の特異な演奏法を示すエピソードだが、アキさんがヨーロッパ初演(1978年/ベルリン)した時、ある高名な指揮者が聴きにきていた。彼は、 彼女が弾くプリペアードされた音響のリズム声部を、最後まで別に「テープ再生」されているもの、 と勘違いしていた。目で見ていてもわからなかったほどの、<ウルトラC>のポリリズム演奏だったわけだ!
初演:28.12.1977/「高橋アキリサイタル」/東京/Pf.独奏:高橋アキ
ヨーロッパ初演:1978/ベルリン/コンザーヴァトリーホール/Pf.独奏:高橋アキ
石井眞木、1992